美しい自然に囲まれた岐阜のある田舎町で、小学校の頃に母親を病気で亡くしている大倉稔は、家にほとんど戻ら ない父親と、不登校で引きこもりの妹に頭を悩ませていた。 死後の世界への好奇心から徐々に非行へと走っていく。 そして、稔の家庭で突然に起きた不幸な事件が稔の心をズタズタに引き裂いてしまう。死への好奇心が恐怖に変わったことで、稔の胸の内に潜んでいた狂気が少しずつ姿を現し始める。 周りの温かい人々に支えられながら、いつかは大切なものがすべて消えてしまうという恐怖を受け入れ、大切なものと今を生きていくことを決断する少年の一夏の物語。